Black★Joker【完結】
「あいつらは俺を怒らせたから入店禁止になっただけ」
「でも、もしそんな勝手なことしてるのが店長にバレたら……」
「大丈夫。店長と知り合いだからバレても問題ないし」
「あっ……そう……」
僕が苦笑いを浮かべると、隣にいた美空がクスクスと笑いだした。
「なんか龍馬と優って……いいコンビだね」
「いやいやいや、それはないね。メソ男と一緒にしないでよ」
「僕だって龍馬と一緒にされたくないよ」
「ハァ?うるせぇーよ、バーカ」
龍馬はそう言いながら僕の肩を小突いた。
少しだけ痛かったけど、誰かとこんな風に絡んだのは久しぶりで。
昨日からさっきまで龍馬に怖いイメージしかもっていなかったのに。
それなのに僕は今、龍馬と一緒に笑い合っていて。
自分でも不思議なくらい、龍馬には素の自分を見せることが出来た。
「あのさ……昨日は本当にごめん。それと、ありがとう」
美空に気付かれないように龍馬にコソっと謝ると、
「俺、過ぎたことは気にしない主義だから。って、俺すげぇーいい奴じゃん!」
そう言って龍馬は鋭い目を細めて笑った。
「自分でいい奴とか言っちゃってるよ……」
僕はボソッとそう呟きながらも、ここへ連れて来てくれた美空に少しだけ感謝した。