Black★Joker【完結】
「元気にやってるよ」
優は晴れ晴れしい表情でそう言うと、目を細めて空を見上げた。
「優、もしかして何か知ってるの?」
「ううん、何も」
「……何か隠してるでしょ?」
「隠してないよ」
優の顔にはまだ川上という男にやられた傷が残っている。
でもその傷のせいか、優がとてもたくましく見えた。
「じゃあ、どうして被害届出さなかったのか教えて?」
警察で調書をとられた優は何故か被害届を出さなかった。
優のお母さんもそれを反対しなかったというから驚きで。
優とおばさんの間に何があったのかは分からない。
だけど、おばさんがまた趣味のお菓子作りを再開したのは確かで。
優の家から甘い匂いが漂ってきた時、すごく嬉しかった。