Black★Joker【完結】
「……ホモ?」
「ち、違うよ!!僕は単純に龍馬を……――」
反論しよう慌てて声を上げると、川上くんはニッと笑った。
「なんてな。俺もある意味、神谷を尊敬してる。お気楽主義のあいつが羨ましい」
「……龍馬の魅力ってなんなんだろうね?」
「さぁな?でもあいつ、昔からブラックジョーカーって呼ばれてる」
「ブラックジョーカーって?」
「ジョーカーはおどけ者って意味。いつもふざけてるだろ?」
「……確かに」
「でも、おどけてるだけじゃない。あいつ、この辺りじゃ一、二を争う位強いって有名なんだよ」
「へぇ……龍馬並みに強い人なんているんだね」
僕が何気なく呟くと川上くんは小さく頷いた。
「神谷兄弟って、この辺りじゃ知らない奴なんていないからな」
「神谷……兄弟?って、まさか、龍馬のお兄ちゃん?!」
「なんだお前、あいつの兄貴知ってんのか?」
川上くんは意外そうな顔で僕を見た。
「知ってるも何も……」
龍馬以上に恐ろしいあのお兄ちゃんを忘れるはずがない。
傷だらけの弟に「煙草買ってこい」なんて命令する悪魔のような人……。
今思い出しただけでも、身震いしてしまいそうだ。
「自己中で喧嘩が強くて腹黒い男、それが神谷龍馬だ」
川上くん、大正解。
「だけど、意外に優しくて頼りがいがあって情にあつい……それも神谷龍馬」
「いや、あいつの腹黒さは天下一品だ。だからブラックジョーカーなんてアダ名つけられるんだ」
「……本当に腹黒いからブラックなの?」
不思議になって聞くと、川上くんはフッと笑って首を横に振った。
「あいつ、我が道を行くだろ?何色にも染まらない男。だからあいつは、ブラックジョーカーだ」
「……そういうことなんだ」
black jokerか。
龍馬にピッタリの言葉だ。