Black★Joker【完結】
「お前に単車貸したら、俺は何で帰ればいいんだよ。歩いて帰れなんて言わないよな?」
「俊ちゃん、お願い。一生のお願い。な?いいだろ?」
「気持ち悪ぃな。お前の一生のお願いは何回あるんだよ。もう10回は使ったぞ?」
「あと30回位だから頼むって」
両手をパチンと合わせて頭を下げながら俊平の顔色を伺う。
こんなやり取りをしている時間すらもったいない。
この間にも美空は俺を待ち続けているだろう。
……クソっ。こうなったら奥の手段をつかうしかない。
俺は「嫌だ」と言って聞かない俊平に痺れを切らし、腹を決めた。
「分かった。俺んちにある裏モノのDVD全部やるよ」
「……全部?」
俊平の眉がピクっと反応する。
この条件を提示すれば、俊平は単車を貸してくれるはずだ。
長年、こいつと一緒にいるわけじゃない。
「あぁ。お前が好きなあの……なんていう子だっけ……」
「……分かった。今週中にまとめて俺んちに届けに来いよ」
「了解。助かった」
俺は単車の鍵を俊平から受け取ると、教室を飛び出した。