Black★Joker【完結】
「もう無理です……」
バイトを初めてから数日で辞めていく奴が多かった。
初日に客と揉めてボコボコにされた奴もいたし、
逆に客にブチ切れて殴り傷害罪で逮捕されたバカもいた。
店が一時期営業停止を食らったせいで、俺はその間の昼食をカップラーメン一つでしのぐハメになった。
「……根性がある奴か……」
俺の周りには該当する奴はいない。
根性がある以前に、初日から客と揉めそうな奴ばかり。
短気な俊平なんてもってのほかだ。
「誰かいねぇかな……」
そう呟いた瞬間、俺の頭にある人物の顔が浮かんだ。
「……そうだ、あいつでいいじゃん!!」
あいつなら客と揉めることはないだろう。
一発二発殴られても、メソメソ泣くだけで問題解決だ!
最高の適任者を見つけた!!
思い立ったが吉日。
「おーい、美空ーー!」
俺は全速力で美空の元に駆け寄った。