Black★Joker【完結】
僕は仕方なく床に散らばっていた洋服をベッドの上に置き、空いた場所に腰を下ろした。
「なぁメソ男、何か飲むか?」
「僕は大丈夫だよ」
「お前なぁ、人が気を遣ってやったんだから、ありがたく受け取れって」
「じゃあ……もらうよ」
僕だって気を遣って「大丈夫」って言ったのに。
龍馬は僕の気遣いに全く気付いていない。
本当に鈍感な男だ。
「ほら」
龍馬は部屋の中にある小さな冷蔵庫から取り出したジュースを僕に手渡した。
「ありがとう」
お礼を言った矢先、
「それ200円な」
と言って、龍馬は真顔で手を差し出した。
もう口を付けてしまったし、返すことはできない。
最初からお金をとる気だったんだな。
「……分かったよ」
ムッとしながらもポケットの財布に手を伸ばすと「バーカ、冗談に決まってんだろ」と龍馬は楽しそうにケラケラ笑った。