Black★Joker【完結】
でもどうすることもできず、制服のスカートをギュッと強く握る。
もう会えないの……?
この辺りで学ランが制服の学校は、一条工業だけ。
だけどあたしは、龍馬の名前と学校しか知らない。
どこに住んでいるのか。
何年生なのか。
彼女はいるのか。
聞きたいことが山ほどある。
もっと話したい。もっと龍馬を知りたい。
だけどあたしと彼に接点は何一つない。
言葉が続かずに黙りこんでいると、龍馬はピタリとその場に立ち止まった。
「俺、そこのカラオケBOXでバイトしてるから。暇なら遊びに来な。じゃあな」
すぐそばにあるカラオケBOXを指さすと、龍馬はヒラヒラと後ろ向きで手を振った。
その瞬間、中指にはめられたクロムハーツの指輪がキラッと輝いて。
「……カッコいい……」
そう呟きながら、ボンヤリと龍馬の後ろ姿を目で追う。
その背中が人混みに紛れてどんどん小さくなる。
「……一目惚れしちゃったかも」
あたしは未だにドキドキと高鳴る胸を両手でギュッと抑えた。