《完》極上☆SWEETS!! 〜愛しのショコラ・プリンス〜
髪が乱れてくすぐったくて、
あたしは首をすくめた。



――ホント、ナニ
言っちゃってるんだか。


まだ20代そこそこの雇われ
パティシエのくせに、歳も
かわらないあたしを雇う
だなんて……。


バッカみたい……。


「大きく出すぎでしょ。

それに、あたしが入った
ばっかの頃は『とっとと
辞めちまえ』とか言ってた
くせに」


あたしは髪を直しながら、
思いっきり皮肉っぽい
口調で言ってやった。


だってそうしないと、心の
中が見透かされそうで。



爽介は辟易した様子で
ロコツに顔をしかめて、


「ナニお前? もしかして
けっこー根に持つタイプ?

いつの話してんだよ」


「いつって、まだたった
数ヶ月前だけど」


「数ヶ月たってな

あんときはタイミングも
悪かったし、オレも色々
切羽詰まってたし――半分
勢いみたいなもんだろ。

まだそんなこと言ってんのかよ」



――わかってるわよ。


最初こそ色々あったけど、
今はもう、爽介もちゃんと
あたしを認めてくれてる
ことくらい。
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