《完》極上☆SWEETS!! 〜愛しのショコラ・プリンス〜
     ☆☆☆☆☆



地下にある狭い入口のドアを
開けると、相変わらずそこは、
海の底みたいな青い光が
ユラユラしてた。


今日はカウンター席は
先客で埋まってたんで、
あたし達は一番奥の方に
あるテーブル席に案内される。


向かい合って座って、
カクテルで乾杯して。


あたし達は、お酒を飲み
ながらいろんなことを話した。


コンクールのこととか、
お店の仕事のこと。

それに爽介は、どうして
この店が特別なのかって
ことも教えてくれて。


「そっか。

最初にコンクールで優勝
したときに、みんなで
お祝いした店だからなのね」


いつか、母校に飾ってある
賞状を見せてくれた、あの
コンクール。

その時の仲間達と過ごした、
思い出の場所だったんだ。


だからそれ以来、ここは
爽介にとって、特別な場所
なんだね。



――フッと。


嬉しいような……それで
いて切ない感情が、あたしの
胸をかすめる。


……『特別』。


その言葉を、心の中で
リフレインした時に。


あたしって、その『特別』な
場所に、2回も連れてきて
もらって。
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