《完》極上☆SWEETS!! 〜愛しのショコラ・プリンス〜
ただの短気でイヤミなヤツ
かと思ってたのに……。



――ふと気づくと、あたしの
心臓が、トクントクンと
少しだけ速く打ってる。



どうしちゃったのあたし?


プチ感動的な場面に
出くわしたもんだから、
ガラにもなく興奮
しちゃったかな。


落ち着け、落ち着け……。

あたしが興奮したって
仕方ないじゃん。


「で、これの商品名はもう
決まってるのか?」


新条さんの声に、あたしは
ハッと我に返った。


「いえ、まだ未定で――」


そう言いかけた雫を遮って。


ポツリとつぶやくような
小さな声――でもはっきりと
耳に伝わる声が、告げた。


「un coffret a bijoux――」


それは、なめらかでとても
流暢な、フランス語だった。


「un coffret a bijoux
(アン・コフレ・ア・ビジュー)……。

宝石箱……」


あたしもそのフレーズを
反すうして、食べたケーキの
味やデザインをもう一度
思い返してみる。
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