君が嫌いな君が好き
第3話
キーンコーンカーンコーン
「HR始めるぞー」
2ー3。
それが捺のクラス。
担任は男。中年太りが最近気になるらしい。
そしてひとつ、このクラスには問題があった
「湖山、は………欠席っと」
湖山妙子。捺のクラスメートなのだが、不登校生。
『…(…弱いひと)』
捺は妙子があまり好きではなかった。
自分と同じく虐められている者同士、気が合うのでは…と新学期数日間は思っていた。
しかし、捺は妙子のことがどうしようと好きになれなかったのだ。
虐められれば直ぐに泣く。嫌だ嫌だと泣く。泣いた理由は誰にも話さない。
それでは「虐められてます」と言っているようなもので。
…しかし耐え切れなくなったのか、母親に言ってしまったのだ。
妙子の母親は職員室殴り込み、虐めていた生徒は妙子の両親や担任や自分達の親にまでこっぴどく叱られた。
これで虐めは終わる
…そんな筈がなかった。
虐めは更に酷くなり、妙子はもう学校に来ることはなくなった。
『(…馬鹿だなぁ、虐めが酷くなることくらいわかるでしょ普通………)』
妙子が不登校だと知った捺は、ただただ妙子に冷ややかな思いを一人呟いていた。
何故そんなことで学校を休むのだろうか。何故そんなことで病院なんかに行くのだろうか。
捺には理解出来なかった。
「HR終わり。数学だからこのまま授業始めるぞー。日直」
『………きりーつ…礼』
でも…ただ、
(強い人が弱い人を理解してあげなきゃいけないんじゃないか、とは思った)