旅の終わりの物語
魔物の惨殺場所を線で結ぶと、一つの共通点を見出だすことが出来た。

それは勇者と魔王の関係にあったアストレイだからこそ理解できたことだ。

「ここでお前は私を待っているのか?」

アストレイが向かったのは、かつて己の巨城、ヘルキャッスルが在った魔界だ。

今は無いが城を抜けた更に奥、漆黒の森を抜けた先の山の頂き、イービルリングとダークブレスを使い、心身共に闇の物へと姿を変えかけた自分がいた場所だ。


巨大な玉座に小さな人影を見つけた。

空色の髪の女が静かに寝息を立てている。

成長していても、寝顔にはまだあどけなさが残ると思った。

こんなあどけなさを残したままの娘にあの惨劇が作りだせるのかと疑いたくなるが、身体を包むマント、彼女の剣から上る血の臭いはアストレイすら包み込もうとする。

龍王の剣は鞘すら真っ赤に染まっていた。
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