旅の終わりの物語
「無礼をお許し下さい。咎を受ける覚悟は出来ております。されど、エルを殺させるわけにはいかないのです」

「しかし、この者は罪のない魔物たちを」

「そうです。ですが、死んだものは一匹たりとしておりません。この者の言葉をお聞きください」

「何を知っている!リンゼイ·ヘーゼルナイトバロニスよ」

リンゼイは長いドレスの袂から、小さな小動物のような魔物を取り出した。この魔物たちが沢山エルナディアに惨殺されていた。

魔王を前に、魔物はカタカタと身体を震わせている。

「大丈夫よ。さぁお話して」

気を落ち着けるように背中を撫でられる。

「僕らはエルのお手伝いをしたんです。エルがアストレイ様に殺してもらいたいって。僕たちはエルが死ぬのは嫌だったけど、エルが泣くのはもっと嫌だったから。僕らを殺せばアストレイ様はきっと来るって思ったんです。だから僕らを殺してもらったんです」
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