Angil voice ~君の声がこの街に響くように
コンビニ、CDショップ、街中どこを歩いても彼女の歌声が響いた。




ある日、ダンボールに埋もれる手紙の中からひとつの封筒を見つけ出した。


その中には一通の手紙が入っていた。

「元気をもらいました。

 凛さんの歌声とハルさんの曲に・・・。

 私は白血病という病気をもっています。

 病気になってから学校に行く回数が減って、
 髪も抜け落ちて、本当に悪いことばかりで
 なんで自分だけ、って思っていたけど、
 
 凛さんの話を聞いて、自分ももっと頑張れるんじゃないかな、
 って思いました。


 今度、私は骨髄移植を受けます。
 適合する人が見つかり、助かるかもしれません。

 今、治療や移植が本当に不安だけど、
 この歌を聴いて頑張ります。

 元気をくれてありがとう。」

12歳の少女だった。


この世界中にこの曲を聴いてくれている人は何人いるのだろう。


でも、たった一通の手紙で、こんなにも凛が生きていたことが
形に現れるなんて・・・。


こんなにも、凛の声が届いていたなんて・・・。

俺はどうしようもなく嬉しかった。






凛の生きた証が確かにここにある。





凛の歌はその年代にも絶在的な支持を受けた。

死を目の前にした真っ直ぐな彼女のメッセージは多くの
人の心に届いた。





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