Angil voice ~君の声がこの街に響くように
凛が夕飯ができたと俺を呼びにきた。

いつもと同じように二人で他愛もない会話を交わした後、
俺は仕事部屋に直行した。

俺はさっそく曲作りに取り組んだ。

とにかく一刻も早く仕上げたい。
そんな気持ちで一杯だった。

凛の眠れない原因はわからないが、
俺に局で元気づけてあげられないだろうか・・・。
そんな事を思っていた。

凛も俺もまるで何事もなかったかのように
昨日のことについては一切触れなかった。


一方で、俺は、今、作りあげないと、二度と作れない気が
していた。一刻も早く、というのは俺自身のためでもあったのだ。

俺は2日間、食事以外はほとんど仕事場にこもった。
凛ともろくに会話せず、黙々も作曲に取り組んでいた。


ある日、焦って楽譜を取ろうとした時、
俺は凛が入れてくれたコーヒーを床にこぼした。
同時にカップが割れる音が響いた。

慌てて凛が飛んできて綺麗に片づけてくれたのだが、
余計に苛立ち、髪をくしゃくしゃにし、深くため息をついた。

「羽琉さん。大丈夫ですか?」
凛が心配そうに俺に話しかけた。

「ああ。」
俺は顔も見ずに返事した。
そして凛に片づけてくれた礼も言わず、また黙々と
取り組んだ。

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