Angil voice ~君の声がこの街に響くように
部屋中に、彼女の声が響いた・・・。



「眩しい光に照らされて 私の背中に羽がはえた
軽くなった体が浮かび 天へ昇ったの

月明かりが綺麗な夜 二人で歩いたこの道や
思いを確かめ合ったあの夜のキラキラと輝いた日々

すべての記憶が色褪せることなく 私が胸に抱いて昇るから

春は木漏れ日抱いて 桜舞う中で幾年も
どんな季節も貴方が幸せであるように・・・

写真も数えるほどで 過ごした季節も少ないけれど 
一つでも忘れないように 心の中で何度も甦らせるの

貴方に灯された光を この声が枯れるまで歌にして届けたい 
伝えたい 
溢れる想いを

カレンダーで刻々とタイムリミットを刻む私だけど 
日が経つごとに大きくなる想い

叶わない夢だけ増えてゆく
 
もう一度季節が巡り 桜の花びら散りゆく頃
私は星となり 傍にいれないけれど

貴方をいつまでも照らし 輝き続けるから」


俺は涙がでそうになった。


彼女の歌声があまりに綺麗で切なく響くから、
彼女の音楽の才能が苦しいくらいに俺の胸に突き刺さった。

”Amazing grace”とは違う芯の通った思いの強い声。


・・・ここまで歌い分けられるなんて。


きっと天才とはこういう事をいうのだ。






俺は歌い終わった彼女の姿を熱い思いで見つめていた。

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