Angil voice ~君の声がこの街に響くように
「・・・。」

坂井は黙った。

「俺にとって凛は一生でただ一人の存在。
 
 そう、思っている。

 凛以上思える人にも会えないと思うし、凛しか愛さない自身もある。」



少し考え込んで坂井は口を開いた。

「凛はそれを聞いてどう思うかしら・・・。」


「・・・俺ならね。
 
 愛する人がこの先俺しか愛さないって思ったら嬉しいよ。

 それがその人をこの先一生、縛ることになっても、
 俺は死に対する不安が和らぐと思う。」

「坂井は?
 
 自分がその状況に置かれたらどう思う?」


「・・・。

 私は考えられない。

 ・・・だけど、結婚式、挙げたいな。

 これは女の一生の夢だから。」

「そっか。」


しばらく二人は黙りこんだ。
すると、坂井の方から口を開いた。




「羽流?

 
 ・・・決意は固いのね?」


「ああ。」

坂井はゆっくり頷いた。

「協力するわ。

 色々準備が必要でしょ。

 凛に残された時間も少ない。」

「ああ、ありがとう、助かるよ。」





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