Angil voice ~君の声がこの街に響くように
「愛する人を残して死んでいくいのと、愛する人に死なれるの。

 どっちが辛いんだろうね。」



ふと、坂井の友人がその言葉を口にした。


台所で話していたため、俺がドア口にいたのに気付いていなかった。



凛の死から、49日が経った。


各々悲しみを受け止め、気持の整理を始めるころだった。


だが、俺は未だに凛の死を受け止められずにいた・・・。

葬式も通夜も、ただ茫然と立ち尽くし、
「ああ、誰かが運ばれていく・・・。」

そんな思いで見ていた。


俺の中ではリアルは一つもなかった。






49日で一通り片付くと、テーブルに親戚や友人が集まり始めた。

「いい子だったよね。」

「若くして死んでしまって・・・。」

「本当に残念だ。」

「歌の上手い子だったね。」


それぞれに凛を語った。





「やめてくれ。」

俺は心の中でこう繰り返した。

誰かが凛の事を過去形にするたびに、凛が想い出になっていくのが
堪らなく辛かった。

それを自覚してしまう自分も許せなかった・・・。
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