Angil voice ~君の声がこの街に響くように
凛の死から3か月経ったある日、

坂井が俺を訪ねてきた。



49日以来、会うのは久しぶりだった。

お互い、会うと凛の事を思い出してしまうため、
会うのは極力避けていた。


突然何の用かと思ったのだが、
坂井は見せたものがある、といい、部屋にあがってきた。


「どうしたの?」

俺は聞いたが、何も言わず、
意味ありげな表情をして、坂井は俺をテレビの前に座らせた。

「実は、凛からビデオを預かってるの。」

「えっ?」

「羽流が落ち着いたら見せてって。」

「落ち着いたら?」

「そう、また悲しみでまた作曲できなくなったら。」

「・・・。」

「私にも一緒に見てほしいって・・・。」



「再生するわね。」

そう言ってビデオを再生し始めた。


そこにはまだ元気だった凛の姿があった。


俺は目頭が熱くなった・・・。




「羽流さん。」

ビデオは俺への呼びかけから始まった。


「このビデオを見ているということは、私はもうこの世にはいないんですね。

 羽流さん。

 羽流さんが私のために永遠を誓ってくれたこと・・・、

 本当に嬉しかったの。病気で気持も落ち込んでて、
 自分だけが世界中でひとりだけみたいで・・・。
 
 でも羽流さんが、私がいないと生きていけない。って言ってくれたから。
 
 
 私には一緒に死んでくれる、そうも聞こえた。
 
 体は健康だけど、心は死んでる、そう言ってるみたいだった。

 
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