Stylus
やすし『は、はい。確かに思いました。でも妄想だけでも、まだエッチはしてませんよぉ。。許してください。』


閣下『よし。反省し正直になったな。ひとつ、おまえに課題を出してやる。それを今度会う時までにやっておけ。』


やすし『わかりました、やります、やります。』
俺はここで逃げられたら、もうこいつには会うことはない、新宿には二度と来ない!と誓ったので、易々と『課題を引き受ける』と明言してしまったのだった。


閣下『おまえ、名前は何と言う?』


やすし『やすしです。』
あだ名だがいいか。とりあえずこの場をクリアしなけりゃ死ぬしかねー。


閣下『あだ名だが、いいか。ある意味正しいとも言えるな。』


やすし『!?』
俺やっぱりヤバい?


閣下『課題発表。おまえの人生の目的を言え。』


やすし『人生の目的・・・』


閣下『そうだ。俺はおまえのようなムシケラの人生をまとめる仕事をしている。時にはヒントを能えてやることもある。そうやってうまくいった時にそいつらから成功報酬を頂くことで生計を立てているのだ。わかったか?たいていおまえのようなムシケラどもは、人生設計が出来ておらん。設計をするには目的が明確でないとうまくいかないのだ。だからまずは、おまえの人生の目的を考えるのが最初の課題だ。わかるか?』


やすし『は、はぁ・・・。』
この人やっぱりヤバいわ~


閣下『では、また会おう。』



そう言い残して、彼は夜の闇に消えていった。


『助かった・・・』


本当にその一言。本当にその一言だけが残った。

本名も住所も何も知られないまま終わった。

俺は助かった。


どのくらいたたずんでいたのだろう、あたりは、雨もやみ、朝日が街を照らし始めていた。



疲れ果てた身体を起こして駅へ向かって歩いた。



始発に乗るために。



そう、俺の物語はここから始まる。


この始発から・・・
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