イジワル王子に恋して
「あ…圭。」


ぐんぐん小さくなっていく圭くんの姿を
二人で見つめていた。


あれ以来
会っていなかった。


たまに
教室から体育をやっている姿を盗み見したりはしてたけど…


「大丈夫?」


田中先輩がたずねる。


「は…はい。」

「圭からは、何も?」


田中先輩は
圭くんに私と付き合うと嘘をついた。


圭くんと一緒にいたら
私は進めない。

もう
これ以上、辛かった。


好きだから…


正直
甘い期待なんかもした。


だけど、圭くんは何も変わらなかった。


そして、
私達は他人になった。



二人乗りをしていた圭くんのオンボロ自転車…


圭くん一人をのせて
もう見えなくなった。
< 69 / 163 >

この作品をシェア

pagetop