イジワル王子に恋して
「彩子ちゃん…まだダメ?」

家の前につくと
田中先輩は彩子にかばんを返す。


「ありがとうございます。」

それを受け取る彩子。


優しい田中先輩。

彩子の気持ちに整理がついたら
付き合って欲しいと言われた。


きっと
田中先輩なら幸せにしてくれる。


だけど…


圭くんの家の前に乗り捨てられた自転車。


「はぁ…」

その視線に気づいた田中先輩はため息をついた。


「だよね。ごめん…」


田中先輩は優しい笑顔で彩子の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

そして
手を振りながら、もと来た道を戻っていった。


「はぁ…」


彩子は圭の自転車の前にしゃがむ。


「いつも鍵かけてって言ってるのに。」

彩子はチェーンをはめると番号を転がす。


この自転車、こんなにオンボロだったっけ?


彩子はなんだか
泣きそうになった。
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