総長様とお姫様
いやいやー…
あたしそんな事一言も言ってないんですけど…。
てか直弥のやつ…。
あたしはチラッと直弥の方を見た。
しかし直弥はあたしの方にも見向きもせずただ髪をいじるだけ。
…お兄ちゃん…。
あたしは控えめがちにお兄ちゃんの顔を見つめ口を開く。
「あたし…言ってないよ…」
「それは本当か?…嘘はいけねぇのは華菜も分かるよな?」
…やばい…。
直弥の話信じてる…。
お兄ちゃんは怒ると最強に恐い。パパ似なのかいつもはニコニコしてるけど怒る時は本気で怒るし凄く恐い。
「う…嘘じゃないって!」
「…直弥…本当なのか?」
「え…いや…」
いきなり話をふられた直弥は目をキョロキョロ動かし、誰から見ても嘘をついてるような顔をしている。
「直弥…俺何回言った?嘘はつくなって言っただろ?…何でお前は分からない。罰として今週いっぱいは風呂掃除だ。いいな?」
お兄ちゃんは真剣な表情でそう伝えればあたしの部屋から出て行った。