シャーベット

サッカー部の県大会が近づくにつれて、周りの女子の話題が同じになってきていた。


あっちでも~こっちでも、サッカー部の話。

人気なもんだ@


「あのんちゃん?」

「ん?りほちゃんっ!どしたの?」


他クラスの可愛い仔、本城里穂ちゃんに話かけられた。

めったに話さないから、なんか・・・




「あのんちゃんってサッカーの大会行く?」

「え?うん行くよ///」

「そっか!あのね、ここだけの話なんだけど」

「うん・・?」

「あたしサッカー部の櫻井健杜のことが好き、、なのね?」


さ、櫻井?! 


「そ、そうなんだっ」

「うん。でもなかなか振り向いてくれなくてさ、、昔から好きだったんだよ?」

「昔って?」

「うーん、5歳位かな?あたしとけんと、幼馴染だから」



それを聞いた瞬間、目頭が熱くなった。

ますます叶わないって思った。


けんとって呼ぶんだ・・・しかも幼馴染。


「へぇ~」

「うん、だからね大会の時に告ろうかなぁ~みたいな」

「そっか・・頑張ってね」

「あのんちゃんって健杜のこと好き?」

「えっ」


返事に困った。


好き。そう言いたいけど、そんなことを言える自信はない。

でも、嫌いとは言いたくなかった。


だから、


「わからない、なぁ」


って答えた。


すると里穂ちゃんは、あたしの顔を覗き込みながら言った。


「あのんちゃんはあたしのこと応援してくれるよね?」

「え?」

「あたしのこと、応援してくれるよね?」

「・・・う、うん」


なんだろう。


「やったぁ!嬉しい!あたし告白頑張るっ」




複雑だった。


うなずかなければ良かった、って後悔した。


応援なんて、できないもん。

あたしも櫻井が好きだから。

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