ベストラブ
何だか変な不陰気に不安を隠せない様に、自転車から降りる裕也。





しばらくみつめあったままの2人だったが先に夏海が問う。




「ホントに…?」



するとオレンジ色だった慎二の顔は真っ赤になった。
そしてコクリとうなづく。


そんな慎二を見て、夏海も赤くなる…。




「でも…、アタシには裕也がいるし。それにあみだって…。」



思わず口を滑らしそうになり、慌てて口をおさえる。。。


『あみが何?』



言いかけた夏海の言葉を聞き出そうとする慎二。そんな慎二に夏海はきっぱりと言った。





「そりゃね、慎二の事は大スキだよ。でもね、それは大事な男友達としてなの。アタシには慎二とは別に大スキな彼氏がいるし、友達だって裏切れない。。。だからごめん…付き合うとかは出来ない。」




そんな夏海に少し寂しげに問う慎二。



『友達って?』




「ん~それはマダ言えない。でもいつかきっと教えるよ。」




『うん分かったよ。ありがとな!!いきなりこんなこと言ったのに…ちゃんと聞いてくれて。』




そう言うと夏海を自分の胸に抱き寄せて、呟いた。



『コレカラモ大事な友達でいてくれよな!!』




そんな慎二に夏海も答える。


「うん。ありがと慎二…とっても嬉しかったよ。。。」


そう言うと何だか涙が出てきそうになり、涙がこぼれないよう上を向く。








ガシャンッッッ!!

大きな音と共に自転車が倒れた…




夏海と慎二がいる土手まで100m近くあるが裕也の目にはハッキリと写っていた…。




夏海と慎二が抱き合うところを…。



夏海にしてみれば、慎二に抱き付かれた事でも、裕也にしてみればまるで付き合っているカップルが抱き合ってるように見えるもんだ…。





慎二は夏海を腕から離すと、2人であみの家へと向かった。。。




夏海と慎二が歩いて行くのを、裕也はただ立ち止まって眺めていた…


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