恋にきく魔法
ふわっ。
……え?
あたしの体は、誰かによって持ち上げられていた。
教室に女子の悲鳴がちらほらと聞こえる。
頼斗だった……まるで昨日の夜のように姫抱きにされている。
やっぱりやりました……このバカ。

「芽衣は、柚木頼斗の姫です」

一瞬訪れる、沈黙。
しかしそれはすぐに破られる。
「「「はぁーーーー!?」」」
男子は冷やかしつつ、女子は真剣にショックを受けた子も多かった。
みんなの驚きの中、まだ頼斗の腕の中にいるあたしはもう泣き出しそうなくらい……。
隠すつもりだったのに、カミングアウトするの早すぎでしょ!!!
植田もこれには口をあんぐり。
「……と、とりあえず席に着きなさい。柚木君は……柚木芽衣の隣だ………」
同じ名字だもんね…。
頼斗は「やったな」とウィンクをした。
少しドキっとしちゃうのは……魔法のせいだよね……?



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