恋にきく魔法
「照れてないしっ!」

こんな感じであたしと頼斗ののんびりとした生活は続く。
どうしても素直になれないあたしに頼斗は一度もふてくされたことがない。
だからあたしもそんな雰囲気に甘えてしまってるのかもしれないなぁ……。

また考えこんでしまって、頼斗は不思議そうにあたしを覗きこむ。
顔、近いしっ……。
目があったときあたしの心臓は再び大暴れ。
ししし、静まれーい……!
「芽衣……?」
「な、何ー?」
ぎこちない笑顔で返す。
今のあたし、絶対口がひん曲がってる……。
「好き…俺、芽衣のこと好き…」
切なげに言う頼斗。
やっぱかっこいい……。
ソファーの上、密着した状態でそんなこと言われてドキドキしない女の子なんていますかー……!?
「芽衣は俺の事…好き?」
へぇっ!?
最近の悩みを直球でぶつけられて、あたしの思考回路はぐっちゃぐちゃ。
そんな質問しないでよ……。
なんだか恥ずかしくて目を泳がせてしまうあたしとまっすぐな瞳の頼斗。
答えられなくて、言えなくて……。
沈黙の時間だけが過ぎてゆく。


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