恋にきく魔法
「はぁあ…疲れたぁ…ただいまぁ」
誰もいない家に響くあたしの疲れきった声。
お父さんもお母さんも、遅くまで仕事だ。
ゆっくりと階段を上がってゆき自室のベッドに寝転ぶ。
体はとっても疲れていたけど、午後の数学の授業でたっぷり寝たおかげか、ちっとも眠くならなかった。
「あ、そうだ…」
夢の中の出来事を思い出した。
<今夜ここに来なさい>
あの声は確かにそう言った。

ぼさぼさになった髪を手ぐしで整えつつ階段を降りていく。
とりあえず財布と携帯、鍵をひっつかんで家を出る。
ゆっくりと歩いて向かう先は夢で見た東公園。
やっぱり気になるし…

夢で見た通り、空はたくさんの星とまんまるの満月が輝いていた。
空の色も黒というより深い青だったから、とっても綺麗…
思わず見惚れてしまうところだけど、早く真相を確かめたいし、東公園へと急いだ。

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