恋にきく魔法
東公園は人気がなく、ヒンヤリとした空気を感じた。
夢で見たのとおんなじ。
街灯がなくて、辺りを照らしているのは月と星の光だけ。
どこにいればいいんだろ…
暗闇の中で目をこらしながらキョロキョロとしていると、突然強い風が吹いた。
「……!?」
目の中に砂が入らないよう、腕で顔を隠す。
一瞬の出来事だったのに…

あなたは現れた。

風が止み、ゆつくりと目を開ける。
目をパチパチとまばたきしつつ再び辺りを見渡す。
「あ…れ…?」
ボンヤリとした闇の中に、スラッとした人影があった。
思わず駆け寄ってしまう。

近くで見るとやっぱりその人は大きくて、だけどすごく華奢。
あたしのことを見下ろしている顔は暗い中でもわかる、いわゆる“イケメン”だった。
「……メイ」
「へ?」
「お前が俺のメイなのかあぁ♪」
そう言うと男の人はあたしを姫抱きにして、くるくると回った。
振り回されて、あたしの髪の毛が闇を舞う。
な、なんなのこの人!?
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