授 か り 人

 その結果解ったこと。それは余りに広範囲な『裁き』だった。

 彼女の肉親を始め、両親の兄弟や、その配偶者、自分の兄弟の配偶者、それらの子供、孫、全てが何らかの事故で命を落としている。


 ただ一人、『マイン』を除いて。


 マインの遺言とも呼べる言葉に、こんなものがあった。

 『私は姉のように、永遠とも呼べるほど生きることは出来ない。だが、年月を重ねれば彼女も衰え、寿命を迎えるだろう。

 それでも、彼女を野放しにも出来ない。

 何年後か、この世界が続いていたなら、姉を『裁く』ための使者がこの地に降り立つだろう。

 私はその使者に思いを託し、『裁き』を下してもらうしか出来ない。それが私に出来る、姉への『裁き』だ』


 それはつまり、彼女が生きている限り、彼女の行う『裁き』は終わらないという事。

 そして、『裁き』がある限り、書き留めていかなければいけないと、学者は思い続け、その生涯全てを『裁き』に費やしたのだ。
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