授 か り 人
「これで、とりあえずの防御はできます。ですが、何か武器になる物が無ければ、先には進めません。武器を作りましょう」
火栄がさも当たり前のように喋っているが、武器となると相当物騒な話になってくる。
「おい、お前ら、扉を開けるから、ちゃんと通れよ」
風稀の纏う光が揺れる。その後、風稀の胸元に光が集中した。同様に、雷志の胸元でも、火栄の光が集中する。
そこから勢いよく伸びた2つの細い光が、何もない空間に絵を書くように、窓のようにも見える背丈より大きな扉の枠を描き出した。
一体これは何なのか。空中に光が単独で留まることなど有り得ない。しかし、2人の胸元から伸びる光は、しっかりと扉を作り上げた。
「さぁ、『授かり人』様、おれたちの世界を救いに行きましょう」
雷志と風稀は促されるまま、目の前に出来上がった扉を開き、真っ白に見える世界へと、2人は足を踏み入れた。