授 か り 人
第六章 空からの力
光輝く扉を開けてゆっくりと中に入る。
一面に広がる緑の草原。真っ青な空には雲ひとつない快晴。
足元に流れて行く風が心地よい。
風が吹く度に、草原が撫でられるように優しく揺れる。
太陽の光で、葉にからまる朝露が、輝いて見えた。
「ここは…?」
不安な表情を隠すことなく呟く雷志。辺りを必要以上に見回し、警戒する。
「ここは、マイン様が眠る場所です」
火栄は続けた。
「マイン様は、もう亡くなっていますが、『授かり人』様のために力だけをこの地に残していきました。自分の姉であり同じ神の化身であるセイラ様を葬ってもらうために。
しかし、マイン様の残されたお力も、もう尽きてしまいそうなんです…。
なんとしてもセイラ様を、お止めしなければいけないんです」
雷志と風稀は、もう疑うことをやめた。今目の前で起こっていることは現実なのだ。
いくら否定しようとも、自分は『授かり人』だと言うことが、これからするべき事を運命づけてしまっている。