授 か り 人
今まで居た場所と全く別の場所に居る様だが、通ってきた光の扉は消えてしまい元の場所に戻れそうにもない。
「この草原の上に、マイン様の力が眠っています。さぁ、行きましょう」
つまりは彼らの指示通り動くほか無いのだ。
しかし、上というのは、一体どこの事なのだろうか。
雷志は火栄と、風稀は氷斗と、体が同化しているままでどこに移動するのかと何も出来ずに立ち呆けていると、体が宙に浮かび始めた。
「おい、今から行くからな」
それだけ言って氷斗が喋らなくなった。
しかし、声を出せなくなったのは彼ら2人の方だった。
時速百五十キロはありそうな速さで、空に向かって飛ばされる二人。
その時間およそ三秒、空中で引きずられるような感覚の二人は意識を保つので精一杯だったが、火栄と氷斗はそんな事をお構いなしで宙に浮かぶ巨大な水滴のような物の前で止まり、火栄と氷斗は雷志、風稀から体を切り離すと、その中に二人を放り込んだ。
「「うわあああがぶばぐ…!」」
いきなり水中に放り込まれ、さらには落下するのではという恐怖に怯える二人を火栄と氷斗は無言で眺めている。