授 か り 人
第七章 情報を求めて
行くあてもなく空中浮遊を続けていたが、先ほどの水滴が浮かぶような不思議な物は見当たらない。
「何もねぇな…。本当に何も知らないのか?」
雷志が問い掛けるも、火栄と氷斗は共に返事をしない。
要するに情報が無いと言うことだ。
「オレ達も先ほどの場所までしか知らないので…」
氷斗は、興味がなさそうにそっぽを向いている。
小さいため息と共に雷志が呟く。
「とりあえずその『授かり人』様っての止めようぜ。風稀もそう思うだろ?」
先の解らない話ばかりで自分は会話に入れないと思っていた風稀は突然話しかけられ、反射的に返事をしたが言葉になっていなかった。
「名前で呼べよ。そのままだと誰に話しかけてるのか、さっぱりわかんねぇから」
抵抗があるのか、一向に承諾しない火栄をそのままにして、雷志はあたりを見回し始める。