授 か り 人
「人が沢山住んでるといいね」
気楽なピクニック気分で歩き出した風稀の事を見て、肝が座ってるのかただの子供なのかいささか不安な気持ちが溢れ出てくるが、動き出してすぐに不安要素を出す必要もないと心に押し止めた。
目的の町までは十キロ程度だとは思うが、しばらくは山道を歩くことになる。
この林道を歩くことにもなりそうだし、野犬などが出て来なければ良いのだが。
黙々と歩く中、歩くことに飽きてきたのか風稀が氷斗と会話を始める。
「ねぇ、氷斗は僕たち以外の人間には見えない妖精さんなの?」
「あぁ、授かり人様のために作り出されたものだからな。俺様のような素晴らしい生き物が簡単に見られるわけがねぇよ」
身長三十センチのふよふよとした小さななりで自慢げに語られても、イマイチ凄さが伝わってこないがそこは気付かないことにしようと思う雷志であった。