授 か り 人
「部屋の、中…?」
四人がいたのは座敷のある小さな部屋だった。
もとい、火栄の姿は見られていないので、三人しか居ないことになっているが。
「氷斗はね、あの女の人とすれ違ったときに頭が痛いって言って、地面に落ちちゃったんだよ」
「そうそう、それで俺たちが拾い上げた時には気絶してたみたいで、うなされてたぜ」
風稀と雷志の言葉の意味が解らない。
確かにあの時、氷斗は女性と戦ったのだから。剣を持った感覚、角に捕まったときの感触、夢なんかではないはずだ。
「一言だけはっきり聞こえた言葉がありましたね」
火栄の言葉の続きに耳を傾ける。
「森よ木々よ草花よ、我に力を与えたまえ。その後、気絶したまま人と同じ背丈に大きくなったんですよ。」
まさしくそれは、氷斗に剣を与え、体も成長させたあの言葉だった。
「氷斗、マイン様から何か情報を貰っていたのですか?」
小刻みに数回首を降る氷斗。
「俺様は何も知らない。でも俺様は今戦ったんだ、あいつと!思い出してもらわないと困るとかって言ってたけど、何のことだかさっぱりわからねーよ」
そう言って、氷斗の体験したことを細かく説明し始めた。