授 か り 人
「挨拶?素通りしていったじゃないですか」

 火栄の言葉に風稀も勢いよく頷く。

「い、いや、待てよ、最初に俺様を見て…あれ?」

「雷志さんと、氷斗さんじゃないですか、ってな感じで話してこなかったか?」

 氷斗の言葉を遮るように発した雷志のその内容に、彼は声を大にしてその通りだと叫んだ。

「その節はお世話になりましたとも言っていたな…?」

 雷志の問いに氷斗は無言で頷く。
 風稀と火栄は二人の話についていけない。特に風稀は理解することが出来ないでいるようだ。

「雷志は俺様と一緒にあの場所を見たのか?」

 雷志の両肩を掴み、揺さぶるように問いかける氷斗に、ただ一言『見ていない』と答えた。

 立ち上がる氷斗。興奮して血の気が上がっているのがわかる。

「じゃあ何で、雷志、お前もあの挨拶を聞いてるんだ?!」

「解らないさ。だけど、相手は俺たちの事を知っている。四人全員の事を知っているのかもしれないし、二人だけなのかもしれないし、それは解らないが。」

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