授 か り 人

 皆が雷志の言葉に耳を傾ける。

「そして、思い出して欲しいことがお前にはあるらしい。お前は草木の力で剣を作り出した。
 ただの夢ではないなら、過去にそんな戦いをしたことがあるって事じゃ無いのか?
 そして、そんな過去があったってことを思い出して欲しいんじゃないのか?」

 座り込んだ氷斗は納得のいかない顔で問いかける。

「じゃあ、なんで雷志もその言葉を聞いたんだ?」

「推測でしかないが、もしその過去が本当だったら、恐らくその場に俺も居たんだろうな。だから彼女は俺のことも知ってる。そして、俺にも声をかけた。」

 にわかに信じがたい内容ではある。
 考えてみれば、雷志はあの町から連れてこられた『授かり人』だ。
 氷斗はその『授かり人』の案内役として遣わされただけの存在。

 現段階での過去の接点など在るわけがないのだ。
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