授 か り 人
雷志は話を続ける。
「その女性を見掛けるのは、森の中だけではなく、町中のとある場所で見かけることが多いらしい。
それが、これから行く町の外れにある沼の近くだ。
この町の住人は女性の幽霊だと信じられているらしいが、どこまで本当なんだかな。」
沼と言う言葉が氷斗の頭から離れない。
嫌な記憶が甦りそうで全く思い出せない。そしてすごく危険な臭いがする。
「その沼の水は飲んだら駄目だ。絶対だ。」
「どうしたの?氷斗。」
まだ沼にたどり着いていないと言うのに、沼の話を、しかも水を飲むなと言われきょとんとした表情で氷斗の顔を覗き込む風稀。
「氷斗はその沼に行ったことがあるの?」
もちろん行った記憶など無い。
しかし、脳の奥底から沼の水は危険だと訴えてくる。
何故?
解らないが。