授 か り 人
「僕、喉が乾いてきた。凄く。すごーく。」
その言葉を聞いて氷斗が咄嗟に叫んだ。
「駄目だ!ここの水は飲んだら駄目だぞ!!!」
その言葉に反応したのは女性だった。
「思い出していただけたのですね。私と戦った最後の結末まで。」
希望の眼差しで氷斗を見るも、彼はそんな記憶はない。ただ、無言で睨み付けることしか出来なかった。
「そこまでは思い出していただいてないのですね……」
そう言ってうつむくと、宙にふうっと息を吹き掛けた。
「皆さん、喉が乾いているようなので、どうぞここの水をお飲みなさい」
その言葉を皮切りに、三人は沼の水を飲み始めてしまった。
「雷志っ!だめだって!火栄も!」
近付こうとしても時すでに遅し。
呼吸が出来ないのか、三人はすぐさま倒れ混み、水辺で悶え始めた。
「この野郎!!!」
前回とは違い、即座に手元に剣を作り出した氷斗は、そのまま相手に突進していこうとしたが、瞬時に人魚へと姿を変えた女性の角がしなやかに伸びて氷斗の剣を締め付ける。