授 か り 人
第十章 思い出した物

「かはっ…!苦しかったぁ…。」

 風稀が座り込んで息を整えている。
 他の二人も無事のようだ。
 沼となっていた場所は、当初見た通り、今にも干上がりそうなものへと変わっている。

 もちろん、すれ違った彼女も居ない。

 氷斗は右手に持っていた剣をどうしようかと悩んだとたん、ジャラジャラと音をたてて崩れ落ちた。

「それ、お金じゃないですか?」

 火栄が言った通り、よく見ると氷斗の剣は貨幣へと変化していた。

「氷斗すごい!剣も出せて、お金も出せるんだね」

 無邪気に喜んでいるが氷斗は何もしていない。ただ剣をどうにかしなければと思っただけだったのだから。

「お前、何か思い出したのか?その金は記憶と関係あるのか?」

 雷志が服の埃を落としながら質問してきたが、関係性など全く解らない。

「俺様はなにもしてない。剣をしまおうと思ったら、崩れていったんだ。これ、貰っていい金なのか?」
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