授 か り 人
最終的に、四人分のブランケット、水分補給のできる水筒、温かい時期とはいえ森の中を通るにはラフすぎると指摘を受け、それぞれの上着を一枚ずつ購入した。
今日の残りの予定は最初の店で食事をし、宿を探して明日に備えること。
「結局、チュラ川に何があるのか分からなかったね」
大きな部屋に二段ベッドが二つ、そのうちの二階部分に寝そべった風稀が体をねじりながら不満そうに言う。
「仕方がないですね、行ってみないと分からないですしそのために準備もしましたから気を抜かずに明日を迎えるしかないですよ」
もう一方の二階部分で広々とベッドを使う火栄はなんだか楽しそうだ。
氷斗はすでに布団に潜り込み寝る体制に入っている。
「それぞれカバンも手に入れたし、明日は弁当を買って早いうちに出発しよう」
そう言って雷志も布団の中へもぐりこんだ。
「俺様はもう寝るぞ。火栄、灯りを消してくれ」
「氷斗が近いんですから氷斗が灯りをけしてくださいよ」
「火栄は空が飛べるんだからこれは火栄の役目だ、俺様はもう飛べないからな」
まったく仕方がないですねと呟いて火栄が灯りを消す。
それを合図にそれぞれが布団にもぐりゆったりとした夜を過ごすのだった。