授 か り 人
「無理ですよ、カバンだって皆さんと同じ人間用のサイズですし、水筒も俺にとっては大きすぎます」

 氷斗のこともあり旅に必要なものは四人分用意しようと決めた話だったが、誤算だっただろうか。
 確かに村の中を歩く間は火栄は人前に出るわけにもいかないため、自分で持ち歩くことは出来ない。

「仕方ない、三人で分担するか」
 そう言って雷志は自分の荷物に火栄の水筒を増やす。

 そんな中戻ってきた風稀と氷斗。

「弁当四つ買ってきたぞ。お、雷志は起きたか」

 雷志はお礼を言うと火栄の荷物を持ってくれと二人にお願いする。
 不満を言う氷斗だったが、ブランケットを自分の分と含めて二枚腰にぶら下げた。

「チュラ川を抜けてからは近道を通ればサンチュ山脈は二時間くらいで通り抜けられるんだって。教えてもらった」

 宿屋を出て少し歩きながら風稀が自慢げに仕入れた情報を教えてくれる。

 サンチュ山脈を超えたところにアロアという町があると言うことだから、今日中にたどり着けそうだ。
 四人は小さな村を後にした。
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