授 か り 人
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　少女が一人、自室のベッドに寝転がり、ラジオを聴きながら文庫本をめくっている。


　『本日は、今、日本中で当たると大人気の占い師、セイラさんにお越しいただきました！』

　ラジオから聞こえるなめらかな声が、彼女の眠気を誘う。

　『なんと、セイラさんが預言した出来事がほぼ１００パーセントの確率で実際に起こっているという、奇跡の占い師なんです』

　嘘臭い台詞を言いながら、その内容を何個か紹介し始めた。

　ベッドに仰向けになり、本を読んでいたはずの少女は、いつしか眠りに落ちていた。
　気付いた頃にはすでに外は暗く、読書をして過ごそうと思った日曜日の昼間を無駄にしてしまったことに、少しの後悔を感じて起き上がった。


　聴いていたラジオの放送時間はとうに過ぎて、番組の合間に挟められているニュースが流れている。

　ベッドから立ち上がると、一通り体を伸ばしてからラジオを止め、部屋を出る。

　階段を下りてリビングのドアに手をかけると、少女の父親が帰宅してきた。


「おかえり」

　声をかけ、少女はそのままリビングへ入っていく。

父親もまた、何も入っていないのではないかと疑いそうになる薄いビジネスバッグを片手に、リビングのドアを通り抜けた。

「ただいま」
「はい、おかえりなさい」

　計ったかのように、少女の母親が夕食を並べ始めた。その間に父親は上着を脱ぎ、ネクタイをはずし、ワイシャツのボタンを２個外した。

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