授 か り 人

「そっか、そうだよね。どうすれば魚は近寄ってくれるかな」
「そのまま動かずにじっとしてればいいんじゃねぇか?」

 氷斗のアドバイスに従って立ち止まるも『足が冷たくなってきた』と困った顔をする風稀。
 それを見てケラケラと笑う氷斗。

「それにしても暑いな」

 立ち続ける風稀を見ていた三人は照り付ける太陽に少しだけうんざりしていた。

「あっ! いたよ、魚がいた!」
 風稀は泳いで近寄ってきた魚を見つけることが出来たようだ。

「ねぇ雷志、ちょっと来て!」

 風稀が大きく手招いて雷志を呼ぶが『俺はさっき見つけた』と言って動く気配がない。

「いいから来てって!」
 それでもなお呼び続ける風稀に根負けして雷志が立ち上がった。

「もうちょっとこっち、ゆっくりだよ、魚が逃げちゃうからゆっくりね」

 そう言う風稀の元へ近づく雷志の腕を風稀が掴み勢いよく引っ張った。


バシャン!


 勢いよく引っ張られた雷志はそのまま川に飛び込むことになった。
< 66 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop