授 か り 人
食事を並べ終えた母親は、テレビのチャンネルを変えた。
『…番組の途中ですが、只今入ってきたニュースをお伝えします。』
母親が新聞のテレビ欄に目をやると、今の時間は、動物番組が入っているはずの時間。迷惑そうな顔をして席につき、食事を始めた。
『○×県×△市で見つかった×○さんの死因について、事故の可能性が高いとの警察の発表がありました。容疑者として浮上した人気占い師のセイラさんが警察に身柄を…』
テレビの画面には、警察に連れて行かれる綺麗な少女が映っている。
番組を潰してまでするようなニュースには見えず、母親はチャンネルを再度変えて、臨時ニュースが終わるのを待った。
しかし、このニュースが後に世界からの注目を浴びることになる。
次々と起こる不審死の不思議な繋がり、終わらない事件。
何十年もの時間が徐々に事件を記憶の彼方へ追いやろうとしていたが、それを思い出させる嘘のような事件が起こる。
『私は、私を陥れようとした家族に復讐するまで生き続ける。それを邪魔する者には、それなりの報いを受けてもらうことになるでしょう』
この台詞が常にテレビで流れるようになったときには、既に数え切れないほどの人の血が流されていた。