授 か り 人
「この先すぐにアロアの町があるんだ。そこに連れてくるように言われているんだけど、せっかくだからうちによってこのとれたての山菜で作った料理を食べて行ってよ。
今日はキノコが多いかな」
キノコを持ち上げて見せてくれた時に氷斗が『それは止めた方がいい』と言ったが、男性の耳には届かなかったようだ。
「さぁさぁ、付いてきてくれ。十分も歩けば町が見えてくるよ、ほら早く」
カゴを背負い、子供の手を引いて歩きだしてしまった。
仕方なくついていく四人。
男性は勇視と名乗った。
アロアの町では未来を見ると言われる女の子の家族と代々つながりが深く、今回授かり人を呼ぶように言ってきたのもその女の子だと言う。
「ここ何十年も未来を見る血筋を受け継いでいる人からのお示しはなかったんだけどね。
二週間くらい前に、『今日から毎日サンチュ山脈からくる人物を連れてくるように』って言われて。
古い言い伝えがあるのは知っていたけど、本当に現れるなんて思ってみなかったよ」
雑談も交えて会話をしながら歩いていると建物が見えてきた。
町の入り口からすぐのところにある家に入るように勇視に促され、四人はぞろぞろと中に入る。
「母さん、授かり人様が本当に現れたよ」
玄関に入るや否やそう大きめに声をかけた勇視の声を聞いて中から女性が出てきた。