授 か り 人

「みなさんお若い方なのね、まずは歩いてお疲れでしょう。中に入ってくつろいでください」

 すぐに室内に戻り何やらカチャカチャと音が鳴り始めた。

 中に入ると大きなテーブルと、六つの椅子がきれいに並べられていた。

「俺は取ってきたキノコでスープを作ってくるからそのままそこで休んでいてくれ」

 入れ違いで勇視の奥さんがグラスに冷たい水を入れて運んでくる。
 椅子に座った四人の前にグラスを置き、『ピッチャーに水を入れてきますから好きなだけ飲んで休んでくださいね』と言う。

「おにいちゃんたち、授かり人ってなに?」

 一緒に椅子に座っていた子供が声をかけてきた。

「僕たちもよくわかっていないんだ。
 誰かを助けるために、誰かを倒さないといけないみたい」

「倒すの? 怖い人?」

 子供の質問にどんな返事を返せばいいのか困っている風稀。

「俺様は強いからな、どんな奴でも俺様が倒してやるよ」

 自慢げに歯茎を見せながらにっこりと笑う氷斗。

 正直なところ雷志と風稀はもちろん、火栄と氷斗もセイラとマインについては何も知らないに等しい。

 言われたとおりに移動してアロアの町にたどり着いただけなのだから。
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