授 か り 人
「授かり人様を連れてくるように言われてから山菜取りを始めてみたんだけど、最初はどれが山菜なのか分からなくてね、でも最近は分かるようになってたはずなんだよ」
「何言ってんの、毎回選別してもらって半分以下になって帰ってくるじゃない。
二週間やそこらで山菜の見分け方が出来るようになるわけないじゃない」
奥さんに追い打ちをかけられて手に持っていた器をキッチンの持ち帰ろうとする。
「待ってくれ。食べられないとは言っていない」
氷斗が器をすべてキッチンに運ぶように伝えると、一緒に三人でキッチンに入っていった。
「俺様の力があれば毒は水に流すくらい簡単なんだよ」
興味を持った風稀もキッチンを覗きに行った。
器に盛られたスープと、中身が少し残っている鍋を近くにまとめる。
水を流し氷斗は準備を始めた
スープに左手をかざして、流れ出ている水に右手をかざす。
「森よ木々よ花々よ、我に力を与えたまえ」
うっすらとよどんだ空気がスープから浮きでてくる。
氷斗の身体を通り、水の中へ移動して流されていった。
「腹も減ってるしな。これでこのスープは食べられるぞ。
俺様に感謝するんだな」
氷斗は自分の器だけを自席に持ち帰り一人食べ始めた。