空気清浄機彼女
要するに男は花粉症なのだった。

毎年この季節になると
男を襲う花粉。

薬を飲んでも注射を打っても
全く効かず
毎年男を襲う花粉症は

男を憂鬱にさせていた。

「いっそひと思いに殺してくれえ!」

男はそう叫びながら
朝のトイレへと向かっていった。


そして何とか身支度を整え
会社へと向かう男。

通勤路の上を通る高速道路を
恨めしそうに見つめる。

花粉は排気ガスと混ざると
相乗効果を持って

より一層のアレルギーを
人に引き起こすのだ。


上を向いたまま
またくしゃみ連発。

道行く人々が
くすくすと笑っている。

そして
アレルギーが原因ではない涙が
一滴男の頬を伝っていった。
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